Q. ディスレクシアの定義を教えてください
A. 読み書きの困難が主な症状である学習障害のひとつ。
ちなみに、ディスレクシアは、ギリシヤ語の「できない」(dys)という言葉と「読む」(lexia)が複合した単語です。
耳から入る情報、目から入る情報などが正確に自動的にすばやく処理ができないことから起こる症状ですが、
まったく読めないというわけではありません。
発現率は日本では5%程度、英語圏では10%から20%といわれています。
なお、大人の脳梗塞の後遺症で読み書きができなくなる症状を医学的にディスレクシアと呼ぶため、
生まれつき脳の機能の問題で同じような症状が出る子どものディスレクシアは
発達性ディスレクシアと呼ばれることもあります。
Q. ディスレクシアとLDの違いを教えてください
A. LDとは日本語で学習障害のこと。
Learning Disabilityの頭文字をとってLDと呼んでいます。
文部科学省の定義によれば、「知的発達に大きな遅れはないのに、
学習面で特異なつまずきや習得の 困難をもつこと」をいいます。
ディスレクシアはLDの一種で、特異的LD(spLD)とも呼ばれています。
とくに読み書きに困難を伴う場合を指します。
Q. ディスレクシアの特徴を教えてください
A. ディスレクシアの子どもたちが字を読んだり、書いたりできないのは、
努力が足りないからではありません。
本人は読んだり、書いたりしたいけれど、そうできないのです。
では、何がどうできないのでしょう。何をむずかしいと感じているのでしょう。
そのいくつかをあげてみます。
ディスレクシアの子どもは、読み書きにむずかしさを感じています。
では、具体的には何がどうできないのでしょう?
ひとりひとりみな、何ができないか、何がむずかしいかはちがいますが、
おおよそ次のような特徴があります。
●一字ずつひろい読みをする
●行を飛ばす、どこを読んでいたかわからなくなる
●似た形の字を間違える
(たとえば、「は」と「わ」、「へ」と「え」、「お」と「を」、「し」と「J」、「こ」と「い」と「り」。
「た」「な」「に」や「さ」「ち」、「ろ」「る」、「ね」「め」「ぬ」などは
読むときも書くときも間違えやすい)
●伸ばす音がわからない(たとえば、「おとうさん」)
●へんとつくりを間違える
●同じ漢字でも違う読み方をする漢字が苦手
(たとえば、【生】 生きる、生まれる、生える、生命、誕生日、出生、出生地と
いろいろな読み方がある漢字は苦手)
●逆に読む(たとえば、めまぐるしい→めぐるましい)
●意味や音が似ている漢字を間違える(泉→湖、作る→使うなど)
●漢字の細かい部分を書き間違える(点が足りなかったり、横棒が多かったり)
●書き順がでたらめ
●鏡文字を書く、角度が違う
●内容は近いが聞いたとおりに書けない
読み書きが困難だと国語だけではなく、算数の文章題がわからないこともあります。
また、記憶に問題があると暗算がむずかしかったり、桁を間違えたりすることもあります。
さらに日本語ではほとんど問題がないように見えたのに、中学校に入って英語の勉強が始まると、
とたんに混乱してしまう生徒も少なくありません。
そのほかの特徴
●しばしば忘れっぽい
●アトピー、アレルギー
●疲れやすい
●思い違い
●語順が混乱する
●手先が不器用だったり、運動神経が鈍い
●ADHD(注意欠陥多動性障害:多動性、衝動性、注意散漫を主症状とした
中枢神経系の発達障害)をあわせもっている場合が30%以上あるといわれている
Q. 診断の方法を教えてください
A. ディスレクシアかどうかを知るための診断では、
まずその症状が発達上の問題によって現れているのか、
それともほかに原因があるのかを調べます。
具体的には、生育歴(中耳炎など耳の病気はないか、帰国子女ではないか、
熱性けいれんやアトピーなどの病気はないか)、環境(家であまり本を読む習慣がないなど)、
視力や聴力に問題はないか、虐待を受けていないかなどを調べ、
そうした要因も考慮に入れたうえで知的活動を総合的に評価するテストである
WISC III(知的発達のレベルを測定するとともに、
個人内の情報処理特性を分析するテスト)や
K-ABC(認知処理過程と知識・技能の習得度の両面から能力を評価するテスト)などを
行います。
これらのテストによって、知的レベルを知ると同時に、その子どもの得意な部分、
不得意な部分、処理のスタイルなどを知ることができます。
その結果と、年齢にもよりますが、さらに文章を読んでもらったり、
簡単な文章を書き取りしてもらったりすることで、
ディスレクシアかどうかの可能性をある程度まで知ることができます。
また、環境整備の方法も考えることができます。
いまのところ日本では標準化された診断基準もなければ、
だれが診断するのかも決まっていませんし、ディスレクシア用の検査もないのが現状です。
イギリスでは教育心理士(Educational Psychologist)によるステイトメント(公式な診断書)が
あれば、国家試験などの時間延長やパソコン購入の資金などが支給される制度がありますが、
日本ではそのような制度はまだありません。
一方、アメリカでは以前、診断書があれば試験時間の延長やパソコン持ち込みが
認められるとあって、ある年、大学の受験生の40%がLDであるとの診断書を提出して
問題になったことがありました。
現在では過去5年間の学校での対応の記録を提出しなければ、
その特例が認められないことになっています。
Q. どのようにしたらディスレクシアを克服できますか
A. 人よりも読んだり書いたりするのがちょっとにがてでも、
大成功している人もいっぱいいるのを知っていますか?
自分のすきなことや楽しいことをやって、いきいきとしていたら、そしてそれが人の役に立ったり、 よろこばれることだったら、それは大成功ですね。
たとえば、すいり小説作家のアガサ・クリスティー。アガサもディスレクシアだったのです。
だれかに書きとってもらって、おもしろいすいり小説をたくさん書いたのですね。
ほかにもディスレクシアのあるゆうめいな人はいます。
そういう人たちはみんな、自分が、何がとくいで何がにがてかを知っていて、
とくいな分野でかつやくしているのです。
そう、にがてなことははずかしがらずにたすけてもらえばいいのです。
そのおれいに、あなたのとくいなことを何かしてあげられたらすてきですね。
Q. どのように学習を進めたら良いでしょうか
A. ここではディスレクシアのみんなががくしゅうするときのコツを教えます。さんこうにしてね!
■読むのがにがてだったら
まず人に読んでもらう。
そして何が書いてあるのかわかったかどうかをたしかめるために、 感想をまわりの人と話そう。
テープにろくおんしてもらってもいいし、DAISYというコンピューターのプログラムで人の声で
読みあげてくれるものをつかうこともできるよ。
ふりがなをふってもらうのもいい。
どこを読んでいるかがわからなくなるのなら、一行だけ読めるようにくりぬいたシートを
あつ紙でつくってもらい、それを読みたいところにあてて読んでみよう。
細かめのサンドペーパーに指で字を書いてみよう。
すきなものを連想して文字を覚えよう(カードをつくってもいいね)
ねんどで文字の形をつくってもいいね
■書くのがにがてだったら
書きながら声に出してみよう。
大きなます目のノートをつかう字のれんしゅうはホワイトボードに水性ペンで書いて、
うまく書けるようになってから、紙に1回だけ書こう。
ワープロができるようになろう。
大きく空に文字を書いてみよう。
■高学年になったら
ずかんやがくしゅうまんがをつかってちしきをもとう
コンピューターをつかえるようにして、しらべものをできるようにしよう
読むのがいやだったら、たいけんしよう
■作文対策
友だちやお母さん、お父さんとテーマについて話しあおう。
そのとき話したことを小さなメモ用紙にどんどん書いていこう。
書くのがいやだったら書いてもらう。
テーマがきまったら、そのことがおこったじゅんばんを教えてもらおう。
はじめはどうだったの? つぎは? それで? どんなかんじがしたの?
じゅんばんに メモ用紙をならべていくと、あらふしぎ、作文したみたいになってくる。
さいごはならんだメモ用紙に書いてあることをきれいに書きなおせばいい。
りっぱな作文になるね。
■マインドマッピング
絵をかくのがすきだったら、マインドマッピング(図にしてみる)がおすすめ。
考えをまとめたり、れきしをおぼえたりするのに役に立つよ。
用意するものは画用紙と色えんぴつや6色くらいのマジックインキ。
まんなかに大事なことばや絵をかいて、そこから四方八方に、
おもいつくことばや絵をかいてつなげていく。
木のみきから伸びる枝のようにね。 ひとつひとつの枝にちがう色をつかうと、理解したり、おぼえたりするのが楽になるよ
■えいごをきらいにならないで
アルファベットも日本語と同じ。
空にむかって声に出しながら大きく書いてみよう
文法(ことばのきそく)にこだわりすぎると、話せなくなる。
まずは何かを話してみよう。
すきなものに関連させて考えてみよう。
たとえば、ロールプレイイングゲームの技にはえいごがよくつかわれているけれど、
その意味を考えてみる。
花が好きだったら、たとえばタンポポってどうして英語では
ダンディライオン(dandelion)という のか なと考え、
そしてしらべてみる(もともとはフランス語のダン・ドゥ・リオン(dent de lion)からできたことばで、
ライオンの歯という意味)。
そうすることで、とてもおぼえやすくなるんだ。
すきなえいがのばめんでおぼえよう。
■わすれものが多くてこまっている人は
れんらくちょうに、もちものやしゅくだいを書いてもらおう。
黒板にもちものやしゅくだいを書いておいてもらおう。
科目ごとにひつようなものをちがう色のテープのついたとうめいのプラスチックのケースに入れよう。 時間わりも科目ごとに同じ色のわくにするとぱっと見ただけで時間わりどおりに
そろえることができるようになるね。
*(補足説明)
日本にも20人に1人はディスレクシアの人がいるといわれています。
法律ができて、2007年4月からは、学校ではひとりひとりの個性に合わせた方法で教えたり、
テストをしたりするようになります。
お父さんやお母さんに学校とよく相談してもらい、
自分にあった方法で勉強できるようにしてもらいましょう。

